どんなにきらびやかな栄光よりも
どんなに華やかな名声よりも
尊く、何ものにも代えがたい、僕の宝物
いかなる困難が待ち受けようと
いかなる誘惑が手をまねこうと
きっと何度でも、何度でも旅に出よう
いつかまた、君に出会うために
- Synopsis -
下界とは限られた接触のみ許される、天高く浮かぶ実験都市。
都市で生まれた子どもたちは皆、15歳の誕生日を迎えると
《巡礼》と呼ばれる通過儀礼を受ける。
それはこれから歩むであろう数多の可能性を
シミュレーションによって体験し、
進むべきひとつの道に至る道程。
後悔のない、より良い未来を選ぶために与えられた権利。
この日 15 歳を迎えた少年は、
期待を胸に《巡礼》の旅を始める。
しかし、彼が自分の未来に思いを馳せる度に心に浮かぶのは、
幼い頃の記憶に残るひとつの絵本。
下界から来たという旅人が持っていた、
作者すら分からない手描きの物語。
天を衝くほどに高く聳える岩。
どこまでも広く深く波打つ水平線。
そんなものが本当に この世界にはあるのだろうか。
《巡礼》の旅の果てに 彼は何を見るのだろうか。
Music: auguste beau
Arrangement: auguste beau
Vocal:
ayano eiri
jenya
manabe aya
mao
marie
nakae mitsuki
sakata midori
shimotsuki haruka
yamamoto mineko
Accordion: fujino yuka
Drums: yabuki masanori
Recording engineer: saka tomotaka
Mix & mastered by: saka tomotaka
Art direction & Drawing: hamano masago
Design work: hashimoto kei
Director: manabe aya
タイトル:エヴェレットの巡礼
ジャンル:クラシカルアートポップス
ディスクナンバー:KDR-096
発売日:2022年8月13日
価格:【通常頒布価格】2,000/(通販同時頒布)
参加日:2022年8月13日(土)
スペースNo.:西地区 "ね"ブロック-34b
サークル名:love solfege
≫外部リンクコミックマーケット公式サイト
≫外部リンクコミックマーケット準備会(Twitter)
アルバム『エヴェレットの巡礼』は、以下の販売業者さまに委託させていただく予定です。
≫外部リンクKodomore Records
※8月2日~8月11日の期間中、予約受付いたします。
≫外部リンクとらのあな
≫外部リンクメロンブックス
1. go on a pilgrimage
作曲:オーギュスト棒/コーラス:真名辺あや、坂田みどり、まみ、当麻ほのか、山下千愛
のアルバムは短いコーラスのみの曲から始まる、プロローグ的な役割をする曲である。その理由は「このハーモニーをよく覚えておいてください」と申し上げたいところであるが、連続再生で2周すれば意味が分かるかもしれない。
「pilgrimage」とはこのCDのタイトルにもある「巡礼」を意味する語であるが、本来の宗教的な意味ではなく本アルバム独自の意味づけがなされている。これからある少年がその《巡礼》の旅に出ようとしている情景を厳かに描いたつもりである。
試聴動画では短い曲であるので割愛させていただいた。
コーラス曲のレコーディングはこのコロナ禍での状況ではなかなか難しい面もあったが、感染対策を講じた上でレコーディングすることができた。しかし、制作は出だしのしょっぱなから前途多難である。
2. 空に浮かぶ都市
歌:真理絵/作詞:真名辺あや/作曲:オーギュスト棒
さあ旅に出るぞという不安とわくわく感を詰め込んだ、アルバムの序章の曲として制作した大変力強い曲である。ただ、主人公の少年にはひとつだけ気がかりなことが…。本特設ページの「Synopsis」を是非ご一読いただきたい。
真理絵さんには少年役の歌を多くお願いしているのですが、今回もまさに少年感を大いに出していただいた。この曲は先行して早くレコーディングされた。ハモリが難しく、他の声部と音がぶつかり合う中、真理絵さんの多大なるご努力のおかげでスムーズにレコが進んだ。レコが終わったときには、このアルバムはいい作品になるかもしれないと真理絵さんの歌唱に勇気づけていただけた。
このアルバムにはオフボーカルが収録されていないが、もしオフボーカルがあったら一番気持ちよく歌っていただける曲になるのではないかと思う。
3. Trial Ⅰ: Raise your fist
歌:坂田みどり/作詞:坂田みどり/作曲:オーギュスト棒
大変技巧的な曲である。声楽を修得していないと歌うには難しい曲であり、「聴く専」で、または歌えるところだけ口ずさむ感じで聴いていただければと思う。
歌手の坂田みどりちゃんは新人で数作前から参加しているが、ただ作品を発表しているだけでは「素顔」が見えにくい。そこでツイッターアカウントを開設してもらった。
是非フォローして彼女の素顔も見ていただきたい。
坂田みどりTwitter
さて、曲解説に話を戻させていただくが、ここから3曲は曲タイトルに「Trial」という標題が附される。これは少年が体験するシミュレーションを意味するものである。この世界ではいろいろなシミュレーションを受け、将来を選択するシステムになっている。この曲は何の将来のシミュレーションであるか想像をしながら聴いていただければ幸いである。
4. Trial Ⅱ: Ir/reversibility paradox
歌:真名辺あや/作詞:真名辺あや/作曲:オーギュスト棒
諧謔的な曲想のなかにもロマンティックな部分も含まれ、ヘンテコリンな曲である。歌詞から学者のシミュレーションであることが明らかである。作詞の真名辺あやちゃんもわたしも学者はこのようなイメージなんだと思うと大変愉快である。
この曲はlove solfegeとしてはじめて藤野由佳さんにアコーディオンを演奏していただいた。やはり生演奏は違うなと感動したのですが、試聴部分には藤野さんの演奏は収めることができず、ぜひご支援いただき、製品版を入手していただきたい。今回、アコーディオンはlove solfegeから指定した楽譜を演奏していただいたが、藤野さんは楽譜がなくても藤野さんの感性で音符を置いていくこともできる方である。(インプロビゼーションという。)これからも藤野さんのすばらしい演奏を制作に取り入れていきたいと考えている。
曲解説であるが、簡単に聴こえて歌うには難しいタイプの曲で、これを簡単にこなす真名辺あやちゃんは地道な努力をしていることに敬意を表したい。なんといっても3曲目を除き全曲作詞をして、その上で自身の歌の練習をしなくてはならないので、時間が限られている中での最大限の努力をしていただいたと想像に易い。あまり頑張りすぎないようにと心配になる。
5. Trial Ⅲ: Invisible hand
歌:山本美襧子/作詞:真名辺あや/作曲:オーギュスト棒
大変情熱的な曲である。イントロはスピッカートのストリングから始まり、不穏さと力強さを窺う展開を予想させる。のちに、love solfegeの提唱している「クラシカルアートポップス」へと方向性を決め、最後まで疾走する感じで終結する。シンセサイザーがちょっと時代の流行りにのっていないのは意図的であり、また、自身のお気に入りでもある。リスナーの皆さまに受け入れられることを切に願う。
山本美禰子ちゃんはlove solfege初参加である。彼女の歌唱力は以前(11年前)にティームさん主催のライブでご一緒したときから存じていて、そのときにlove solfegeに参加していただけたら…と思って、やっと念願叶ったわけである。なぜ時間がかかったかというと、わたし自身で山本美禰子さんという歌手とlove solfegeで化学反応したときの想像ができなかったからで、わたしの力不足に大変反省している。11年たって、やっとこのような形で実現できたわけであるが、そう思うとたった1工程で11年の時間を要しており、人間の寿命は短すぎると感じる。
試聴動画でも感じ取れるように、山本美禰子ちゃんは大変難易度の高い曲を軽々と歌いこなしている。レコーディングが終わった後も「もっと難しい曲」をリクエストされたほどである。また自分の想像不足に悩む日々が続きそうだ。
6. 或る少女の祈り
歌:Jenya/原詞:真名辺あや/作詞:Jenya/作曲:オーギュスト棒
曲を通して英語詞のロマンティックな曲である。とはいえ、多少の緊張感があり、また、他の曲との差別化もした。物語の時系列がこの曲だけ異なっていて、少年が大人になり、娘が生まれ、その娘の曲だからである。なぜこの曲がこの曲順になっているかはぜひ考えていただきたい。
曲解説であるが、6/8拍子にのせてピアノとハープが終始活躍する。その中でも頻繁に和音が変質(オルタード)し、独特の響きにして、時間が1世代先に進んだ未来感を出そうと試みた。ある意味、挿入歌であり、世界観としてのエンディングでもあり、取り扱いには相当悩んだ。
実際にレコーディングが始まると、英語詞であることもあり、時系列に乗っからない独立した曲が出来たと確信した。言語選択は重要だなと実感させられた。
Jenyaは少女の歌が似合っている。ぜひとも永遠の少女でいてほしい。
7. Result & Determination
歌:中恵光城/作詞:真名辺あや/作曲:オーギュスト棒
大変ドラマティックな曲である。《巡礼》を終えた少年の心情を描いた。そこで、少年は何を感じ何を思ったか、曲中で明らかになる。
曲は前半と後半にわかれ、前半は情熱的な短調、後半は感動的な長調を目指した。曲想としては短調→長調という意味ではlove solfegeの曲の中では「over the surges」に近い。物語的には重要な部分であるので、慎重に音符を置いていったが、そのしわ寄せがメロディーの難化という形で現れ、中恵光城ちゃんには非常にご苦労をおかけしてしまった。短調から長調に変わる瞬間、少年の迷いがなくなり、「この道に進むんだ!」という決意が表れているので、ぜひ製品版で感じ取ってほしい。
中恵光城ちゃんとはお仕事でご一緒したことがあるけれども、love solfegeでは初参戦で大変だったと思う。特に後半の長調の部分は非常にメロディーラインが難しく、しかし難なくこなしていただいた中恵光城ちゃんにはブラボーとお伝えしたい。
8. 帰結する未来
歌:霜月はるか/作詞:真名辺あや/作曲:オーギュスト棒
この曲の解釈は難しいと思われるので、簡単にプロットにも触れたいと思う。
自分の進む道を決めた少年は故郷を離れ、やがてひとりの女性と出会い、娘を授かることになる。
しかしやがて「娘の存在が脅かされる」事態となり、彼女を救うための道を模索した結果、「ある気付き」を得るのである。
歌詞の中では、必死に絵本を制作している父になった主人公が見てとれる。ある意味、この曲が少年にとってのエンディングかもしれない。
さて、楽曲解説であるが、長調→短調→長調の複合的な3部形式をとり、長調の部分は前奏、後奏を除き6/8拍子であり、短調の部分は2/2拍子である。
また、コーラスは5パートの大編成をシモツキンひとりで歌唱していただき、「このコーラスワークしゅきー!」と言っていただいた。その分時間も要し、シモツキンにも労力をご負担いただいた。
9. 可能性を渡る舟
歌:綾野えいり/原詞:真名辺あや/作詞:Simona Stanzani Pini/作曲:オーギュスト棒
あまりにネタバレを含むので、楽曲の内容については割愛させていただく。(イタリア語ですが…)
楽曲は非常に気まぐれな曲で、しかしながら、クラシカルアートポップスのジャンルに則って、クラシック、ポップス、ジャズ等を織り交ぜながら、結果として、ポップスの形式で曲を制作した。
曲は前半の「緩」から後半の「急」と2部構成であり、前半は抒情的に、後半は情熱的に音符を配置した。
えいりんは東海地方にお住まいで、東京までは新幹線で来ていただいてレコに臨む。その移動時間よりいつも短い時間でレコが終わってしまう。いつもながら、高い音楽性に驚くばかりである。そして、いつも地元の銘菓を差し入れしていただく。これがまたおいしい。もぐもぐしながらレコのディレクションをしていると、レコーディングブースからえいりんの乾いた笑いが聞こえる。(笑)
10. Möbius
作曲・ピアノ:オーギュスト棒
試聴動画には入っていないが、love solfegeにはめずらしい近現代曲。真名辺あやちゃんの作成してくれた仕様書がまた難しくて、無窮動曲(休むことなく指を動かす曲)であることや、その他の仕様がいくつかあり、作曲に大変苦労した。
曲は4/4拍子であるが、3/8+2/8+3/8の複合拍子で合わせて4/4拍子になっている。なので、3+2+3で拍をとってほしい。
演奏するには、しっかりと譜読みをすれば特に難しい点はなく、love solfegeのピアノ曲にしては易しいほうだと思われる。ただ、無窮動曲なので、指が疲れてだんだんテンポが遅くなりがちなので、しっかりと指を鍛えてから弾いていただきたい。楽譜をこちらに掲載するので、譜読みをしながら聴いていただくもよし、演奏にチャレンジしていただくもよし、ぜひ楽譜を活用していただきたい。
11. X年後の君へ
歌:mao/作詞:真名辺あや/作曲:オーギュスト棒
バラードにちょっとだけブルース調のテイストを加えた楽曲。love solfegeだから当然クラシカルな要素も含んでいる。いろいろな要素を含んだ曲にmaoっぴののびやかな声をのせていただいた。
加えて、矢吹正則さんにドラムを入れていただき、maoっぴの歌と合わせて、非常に感動的な曲になった。その分、時間を要するだろうと思い、昨年の段階から楽曲の制作に入った。そして3月にドラムのレコをし、力をためにためて6月にボーカルレコをした。半年がかりで作った曲である。
楽曲は前半後半に分かれ、前半はサビが(A-B-A)の3部形式、後半は(C-A)の2部構成となっている。構成を意識すれば曲を理解するのに早いし、深くなると考えている。なぜ、このような構成になっているかも考察すればさらに曲のもつポテンシャルも感じられると思う。ぜひ、ご理解いただきたい。
話は変わるが、maoっぴがレコのときにチョコレートケーキを差し入れいただいた。ケーキをいただきながらの雑談がとても楽しかった。歌でも訴求力がある彼女はトークでも引き込まれる何かをもっているのではないかと感じた。また楽しくお話ししたいと思っている。