そして、幕が上がる
二十余年の時が経ち
今、ふたたびの舞台に    


2000年から2005年までの
頒布終了となった曲を再録、
また、あらたに制作し直す曲や、
書下ろし曲を加えたリバイバルアルバム。





News

2021.12.12  特設ページ開設
2021.12.12  トラックリスト公開
2021.12.12  楽曲解説公開
2021.12.18  試聴動画公開



Track list

1. Schwarzwald
歌:真名辺あや/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

2. divine
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

3. chaos of zero
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

4. くじらへび
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

5. calm morning
歌:りんな/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

6. Красная стрелка
歌:鮎/作詞:姫木理音、Jenya/作曲:オーギュスト棒

7. molecule
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

8. ぱぴるぷぺぽっぱ
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

9. Material of your eyes
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

10. beauty of ruin I〜 prophecy
歌:桜庭わかな/作詞:美里香鈴、Jenya/作曲:オーギュスト棒/編曲:オーギュスト棒

11. beauty of ruin II〜 salvation
歌:楠鈴音/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒/編曲:オーギュスト棒、なまにえバンザブロ-

12. chiamata
歌:綾野えいり/原詞:真名辺あや/作詞:Simona Stanzani Pini/作曲:オーギュスト棒




 


Staff

Programming: auguste beau

Mixing engineer:
  saka tomotaka(M1,M12)
  yohine(M2,3,4,5,7,8,9)
  Blueberry&Yogurt(ヨ)(M6,10,11)

Vocal:
  ayano eiri
  ayu
  kusunoki suzune
  rinna
  sakuraba wakana
  manabe aya

Guitar: kato hiroaki

Recording engineer:
  saka tomotaka(M1,12)
  auguste beau(M2,3,4,5,6,9)
  jun-1(M7,10,11)
  Blueberry&Yogurt(ヨ)(M8,10)

Recording director: auguste beau

Wave edit:
  mizuno yuu(M1)
  BF kennedy(M1)
  auguste beau(M2,3,5,6,9)
  yohine(M4,5,7)
  jun-1(M5,6)
  inoue ikasui(M8,10,11)
  saka tomotaka(M12)

Art direction & Drawing: hamano masago

Design work: hashimoto kei





Information

タイトル:BIS re:00-05(ビス・リバイバル・ゼロゼロゼロゴー)
ジャンル:クラシカルアートポップス
ディスクナンバー:KDR-097
発売日:2021年12月31日
価格:【通常頒布価格】2,000/(通販同時頒布)


love solfege C99 参加情報

参加日:2021年12月31日(金)
スペースNo.:南地区 "よ"ブロック-03b
サークル名:love solfege

≫外部リンクコミックマーケット公式サイト
≫外部リンクコミックマーケット準備会(Twitter)




通信頒布情報

アルバム『BIS re:00-05』は、以下の販売業者さまに委託させていただく予定です。


≫外部リンクKodomore Records


≫外部リンクとらのあな


≫外部リンクメロンブックス





Commentary

1. Schwarzwald(2000・KDR-026/焼き直し)
歌:真名辺あや/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

love solfegeの結成時に方向性を決めるために試しに作ってみた曲。当時、love solfegeはユニット名を何をするか迷っていて、「山」「火縄銃」「love solfege」の3択まで絞った。もし、「山」や「火縄銃」なら、楽曲の方向性は違っていたと思う。(そもそも実質1択の選択であった候補たちであったが…)どうであれ、「クラシカルアートポップス」の誕生の瞬間の曲である。
ソルフェージュという名前にとらわれすぎて、メロディーがまるでソルフェージュのような練習曲みたいになってしまったが、当時はまだ私は20代真っただ中で、若さゆえ勢いのある音符になったと思う。
今回、この曲は記念すべき1曲ということで、焼き直しをし、真名辺あやちゃんに歌ってもらった。今ならたくさん変更したい音符があったが、音符は変更せず、当時のままに、忠実に再現した。




2. divine(2000・KDR-027)
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

この曲はヴェートーベンのピアノコンチェルトをモチーフに、ロマン派のメソッドで作った1曲である。
もともとヴェートーベンは古典派後期に属されるが、常に新しい技法や表現を求めて試行錯誤した人である。もしロマン派の時代にヴェートーベンがいて、この曲を作ったら…という今ではおこがましくて決して試みようなど思いもしないことを、若さゆえやってみようと思ったのである。モチーフの借用は冒頭の一部分だけにして、あとは、頭の中で必死にシミュレーションをしたのを今でも覚えている。あれからもう20年以上が経過したが、なぜこのようなことにチャレンジしてみようとしたかは忘れてしまった。当時は歌手のことなど考えず、まだ出来もしないのに「より良い音符を」と思って、音符を配置したせいで、歌っていた鮎にはたくさんの苦労を掛けてしまった。自分勝手であるが、それが当時の精一杯である。




3. chaos of zero(2001・KDR-030)
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

まず音楽には調性というのがあって、どの調であるかを決めて音楽が進行するわけであるが、調を2つ決めて、いっぺんに演奏すると…という考えが現近代音楽に発展した。同人音楽にはそのような曲が無かったので、作ってみようか、と制作することにした。
当然、現近代音楽のメソッドで書く音楽なので、聴きにくくなるし、作曲難易度も格段に上がる。当時はまだ自己顕示欲も強かったのか、これくらい作れると誇示したかったのだろうか…。この曲の方向性が必要で作るならともかく、界隈で誰もやったことがないからという理由が幼いなぁと思う。
ちなみに、当時のこの曲の評判は酷評を受け、その矛先は歌っている鮎に向かってしまった。「音程が外れている」とう評価を受け、ショックを受けていたようで、申し訳ないことをしたと思っている。当然、音程は合っている。調が歌とそれ以外で違うので、音程が外れているように聴こえるだけである。




4. くじらへび(2003・KDR-036)
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

love solfege結成から4年が経ち、鮎の声質がなんとなくアニメ声みたいだなぁと気づいてきて、絵本調の曲が合うんじゃないかと思って作ってみた1曲。4年経ってもまだまだ試行錯誤していることに気づく。いまだに「くじらへび」とは何か、明らかではない。そして、初めて「キャッチー」という単語に出会う。キャッチーとは耳に残り、聴こえが良いメロディーのことらしい。それまではキャッチーな音符など意識したことがなかった。この頃から聴こえの良さと闘うことになる。ただ、意識しなければ、4年後にメジャーデビューすることはなかっただろう。「クラシカルアートポップス」において、自分の音楽とメジャーを繋ぐ手段は「ポップス」、つまりはキャッチーさであると考えている。いい感じにキャッチーさを取り入れ、自分の音楽を表現することの感覚をようやっと覚えた。
また、聴いてくれる方もだんだん増えてきて、ジャケットもこだわってみたり、だんだんとユニット自体も成長しているなぁと感じた頃でもある。




5. calm morning(2003・KDR-033)
歌:りんな/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

love solfegeもそこそこ大きなユニットになり、ゲストも呼べるところまできた。しかし、サークルが結成してまだ4年、コネクションもなく、誰をゲストに呼ぶかなど、あてもなかったのを覚えている。そこで、インターネットでゲストを募集し、応募してくれたのがりんなちゃんである。のちに、正式なメンバーとして、観月あんみに改名し、活動をすることになる。活動するということは一期一会、りんなちゃんはそのうち、自分のやりたいことを見つけて渡米して、love solfegeから卒業した。今でも彼女の活躍を応援している。
ちなみに、この曲は1992年に制作したものを当時、焼き直ししたものである。まだ10代である。音符は未熟であるが、りんなちゃんの表現によって、バランスが保たれている。当時、作曲を始めてまだ8年、コード進行を意識して作っていた。現在はコード進行は意識して作っていない。つまりは、コード解析しやすい曲になっている。ただ、コードをピアノでぽろぽろと弾いているだけの曲とも言える。




6. Красная стрелка(2004・KDR-050)
歌:鮎/作詞:姫木理音、Jenya/作曲:オーギュスト棒

この曲はもともと「scene1」〜「scene3」まで分かれていて、CDで言えば3トラックに亘っていた。今回はこれらを1曲につなげてまとめた。これもいずれやってみたかったことで、1曲を3つにシーンごとに分け、更にCDを再生するときになめらかに再生して、トラックが進んでいることに気づかない仕様にできることを知り、よしやってみようということになったのである。ただ今の時代にはこの仕様そぐわないので(再生順や曲間の時間を個々で設定したりできるので)3トラックで1曲という仕様に変更した。そのかわり、1曲の再生時間がこのアルバムでいちばん長い曲になった。
また、自分自身も「KDR-050」ということで記念すべきアルバムになることから、初めて2枚組のアルバムを制作してみた。大変だったのを覚えている。この時以来、2枚組の作品を出していない。例えば、次のキリのいい数字の「KDR-100」などで実現できればいいなぁと思っている。
ちなみに「Красная стрелка」とはロシアの縦断鉄道のことで、日本語に訳すと「赤い矢」ということになる。決して西武線特急のレッドアロ−号の歌ではない。




7. molecule(2002・KDR-032)
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

変拍子の曲。15/16拍子や、13/16拍子などが出てくる。非常にリズムも取りづらいし、歌いにくい。この曲で鮎が難しいとブチ切れたのを今でも覚えている。そこで、大特訓をすることにした。4/4拍子の基本から始め、5/8拍子、11拍子、13拍子、15拍子と徐々にレベルを上げ、鮎はマスターしていった。夜は声を出せる環境がなかったため、車で鮎を連れまわしながら徹夜で車の中で訓練してもらった。(笑)
荒療治が嵩じて、この曲を境に鮎のリズム感は変わっていったと感じている。
既にこの作品が出来ている今では、「歌をまねればいい」だけであるので簡単であるが、当時はまだ楽譜しかなかったので、その壁は高かったであろうと想像できる。
ちなみに、ギターの加藤さんも「うーん」とうなって演奏されていた。考えてみれば、加藤さんも数十年来のつきあいになる。加藤さんも進化していて、今では、当時の半分の時間でレコーディングを完了される。もの凄い努力があったのだろう、鮎も加藤さんも壁を超える努力に関して大変尊敬している。




8. ぱぴるぷぺぽっぱ(2004・KDR-052)
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

ようやくlove solfegeの活動も落ち着いてきて、音符ひとつひとつの働きなどが見えてきた頃の作品。非常に時間をかけて制作した。また、娘も生まれて、よく(現在の)Eテレを見ることが増えたので、「みんなの歌」みたいな曲を作ってみようということになって、制作に至った。
いざ、制作に入ると、この曲に自分の音楽イディオムにないような音符運びを要求されて、実に困った。それでも育児をしながら、踏ん張って作品を落とさないように、作品を形にできるようにしたのをよく覚えている。今では到底無理だなぁと思う。若いうちに踏ん張っておいて正解だった。当時、鮎は売れっ子マンガ家さんで、育児まで手が回らず、7、8割はまだデビュー前の私が育児を担当していた。そういう意味では、同人活動どころではなかったが、自分を励ますためにも活動を続けることが重要であると考えていた。
よくある「売れない音楽家」だった私が、みじめな経験もした苦い1曲でもある。
しかし、ここであきらめてしまっては、今の自分もないとも思っている。




9. Material of your eyes(2002・KDR-031)
歌:鮎/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒

ちょっと戻って2002年の曲。ギターの加藤さんと、ロックを作ろう!と盛り上がって、でもlove solfegeだから、バロックとロックを融合して作ろう!略して「バロック」!と、意味不明なテンションで話していたのを覚えている。当時、わたしは20代で、加藤さんは30代、ずいぶんと加藤さんが大人に見えて、自分も加藤さんのような大人になりたいなぁと思っていた。今では自分の歳は当時の加藤さんよりひと回り以上も歳が離れているところまできてしまった。だからといって、未だに、加藤さんは大人だなぁという感想を持ち続けている。これは生涯変わらないだろう。歳の差は一定だから、加藤さんは1歩先を常に歩いている。人生の師範でもある。
曲について、love solfegeとして、「クラシカルアートポップス」も3年目なので、そろそろ固まってきた頃だと思う。どんな曲を作っても「love solfegeだなぁ」と思っていただけるような、ブランド化を推し進めようとしたのもこの頃である。




10. beauty of ruin I〜 prophecy(2005・KDR-056)
歌:桜庭わかな/作詞:美里香鈴、Jenya/作曲:オーギュスト棒/編曲:オーギュスト棒

love solfege結成から6年、方向転換の時期を迎えた。表現の幅を広げるために、いろいろなゲスト様を招聘し、歌手さん一人ひとりに合わせた楽曲を作ろうということになった。以前からお仕事でご一緒させていただいた桜庭わかなさんにゲストとして歌唱してもらうことができた。当時はお仕事で歌っていたいただいた曲想とlove solfegeでの曲想が違いすぎて、桜庭さんはびっくりなさっていた。桜庭さんの声質は大変独特で、色つやがあり、私自身も音楽の幅を広げることができたと思っている。
ただ、桜庭さんは破天荒な方(笑)で、休憩中の話も破天荒で、わたしはお腹がよじれるほど笑わせていただいた。「あぁ、この方は将来、トークで一財築くなぁ」と思ったことを今でも覚えている。そして現在、和風曲芸にてトークでリスナーの方をひと泡吹かせているのだから、人生というものは実に面白いと感じさせられる。
ちなみに、最初にlove solfegeの曲を聴いていただいて、桜庭さんに「人間の歌う曲じゃない」と評をいただいたが、なんだかんだ言って歌ってくれる、それが桜庭さんである。




11. beauty of ruin II〜 salvation(2005・KDR-056)
歌:楠鈴音/作詞:美里香鈴/作曲:オーギュスト棒/編曲:オーギュスト棒、なまにえバンザブロ-

楠鈴音さんの渾身の一曲。楠さんは声優であるが、歌にも興味をお持ちということで、Blueberry&Yogurtのウチヤマさんからご紹介いただき、歌っていただいた。楠さんは声優ながら、音楽の素養がある方で、この曲は簡単に歌っていただいた。また、声優さんだけあって、独特の声色で、ダブリング(同じ音を重ねる手法)することでとても美しい声になることがわかった。(当然、ダブリングをしなくても素晴らしい声であることは言うまでもありません。)わたしものびのびと作ることが出来て、大変満足のいく1曲になった。
前曲に引き続き、beauty of ruinとは「破滅の美学」という意味になる。当時はこういった後ろ向きな中二病のようなタイトルに惹かれ、意欲的に作っていた。リスナーの皆さんは中二病からはとっくに卒業していると思うが、ぜひ、この美学にも付き合っていただければと考える次第である。大人になってからこうした概念に触れ、新たな発見があるかもしれない…。




12. chiamata(2021・KDR-097/書下ろし)
歌:綾野えいり/原詞:真名辺あや/作詞:Simona Stanzani Pini/作曲:オーギュスト棒

書下ろし曲。あれから20年以上が経過した。このアルバムに書き下ろすなら、何か意味のあるものにしようと考えた。当時の自分の価値観などを鑑みて、当時の自分に音符を諭しながら、しかし当時の勢いを借りて、シミュレーションしてみようと思ったのである。当時は音符はつたなく、しかし勢いがあった。今の自分は勢いは劣るものの、音符は磨かれている。ならば、当時の自分に音符の配置を教えるように、かつ勢いは当時のそれを借りるように…と思って作った曲である。したがって、焦りはなく、落ち着いていて、勢いも多少感じられる、そういった曲になったと思っている。
歌手の綾野えいりちゃんは2009年から、もう13年間歌っていただいている。本当に感謝している。えいりんもこの13年で表現の幅や貫禄を身に着け、ますますレベルアップしている。負けないようにわたしもレベルアップしていかなければいけない。そういった意味では、このリバイバルアルバムを発表する意義は大いにあったと考えている。